堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 結局、アンディはマリーにはかなわない。この一つ一つの動作が、自分を魅了してくる。

「あれの婚約者という女に会った。フランシア家の娘、というのは本当だったようだな」

「でしょ」
 嬉しそうにマリーは身体をアンディのほうに向けた。そして、グラスも傾ける。自分の情報が正しかったということを誇示しているのだろう。
「それで?」

「あれはかなり婚約者に惚れこんでいるようだな。誰も近づけさせないように牽制していた。あんなあれは初めて見たな」
 アンディはあのときのそれを思い出し、笑みをこぼした。そう、あんな彼は初めて見た。彼女の隣を離れず、不可抗力で離れなければならない状況になったとしても、すぐに駆け付けられる場所で待機している。まるで、護衛のようではないか、と。
「ただ、彼女が、身体が丈夫ではないというのは本当のようだ。ああいったところに慣れていないのだろう。具合が悪くなって途中退場だ」
 そこでアンディは肩をすくめた。

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