堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 エレオノーラはバスケットを掲げて見せた。どうやらバスケットは昼ご飯だったらしい。ただの籠ではなかった、ということ。

「昼ご飯」
 とジルベルトが呟いているが。
「いや、こちらでも準備をしている」

 ジルベルトが荷物を確認し、昼食が入っていると思われる荷物を解く。だが、そこにはおやつしか入っていなかった。

「私が準備します、とリガウン家の方には伝えておきましたので」

 あまりにも茫然と立ち尽くすジルベルトが面白過ぎて、エレオノーラは楽しそうに笑っていた。もう、彼女は怒っていなかった。
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