堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

29.任務完了です

 グリフィン公爵とその部下を含む計五名は、ここに来た第一騎士団たちに預けられた。これから彼らは騎士団の屯所へと連れていかれ、取り調べを受けることになるだろう。
 この廃倉庫にはジルベルトとダニエル、そしてエレオノーラとウェンディの四人だけが残された。

「はぁあああああ。もう、疲れました」

 へろへろとその場に座り込むエレオノーラ。本当に腰から崩れるかのように座り込んでしまった。力が抜けたのか、張っていた気持ちが緩んだのか。

「エレン、その恰好と行動が伴っていないから、少しは慎め」
 ダニエルからの鋭い指摘。妖艶な美女がとる幼稚な行動、と言いたいらしい。

「ところで、ウェンディ殿に打ったものはなんだ?」
 ジルベルトが腕を組んで、エレオノーラを優しく見下ろして尋ねた。

「気持ちよくなるお薬、ですか? 栄養剤です。ウェンディの名演技のおかげですね。グリフィン公爵が持っている薬の中身は全部入れ替えておきましたから」
 えっへんと、座りながらでも胸を張って答えるエレオノーラ。

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