堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「エレン。お前の服装は、露出狂並みらしいぞ?」
 そのジルベルトの行為を生温かく見守っていたダニエルが言う。

「何を言っているんですか? 私はセクシー町娘に変装していたんです。露出狂ではございません」
 ジルベルトから渡された上着に袖を通しながらエレオノーラは答えた。

「セクシーな女性は、自分でセクシーとは言わないわね」
 笑いながら言うウェンディに、エレオノーラは頬を膨らませた。

「まあ、エレンが気付いているのか気付いていないかわからないけれど。あなた、さっき回し蹴りしたわよね? そのときにそのスリット、けっこういっちゃったと思うのだけれど?」
 さすが女性目線。ウェンディは鋭い。
 だが恐らく、ジルベルトも気付いていたのだろう。だから無言でそれをかけたのだ。身長の高いジルベルトの上着を着ると、エレオノーラの膝上まで丈がある。これでなんとか、けっこういっちゃったスリットを隠してくれるはずだ。だけど、違う意味でジルベルトが悶えていることにエレオノーラは気付かない。ダニエルは気付いたが、気付かない振りをしている。

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