堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「マリー」
 そこでフレドリックはやっと笑顔を浮かべることができた。
 マリアが親切だから、というのもあるけれど、すでにどこかマリアに決めている自分もいたから。
 そう、彼女に決めた。自分の心の中がそう言っている。彼女に決めろ、と。

「じゃあ、可愛いフレディにマリーお姉さんがいろいろと教えてあげるわね」
 マリアがざっと店の説明をしてくれる。この華やかな店は酒もあり、女もあり、賭けもある、というこの王都の中でも華やかな酒場。
 だからだろうか、客層が他の酒場よりもお金持ちに見えたのは。

 マリアはこの店で働いているらしい。フレドリックがあまりにも初々しくて、可愛らしいから、少し不安になって声をかけてくれたようだ。男性のわりには華奢な体つきではあるが、今回はそれが役に立ったらしい。
 
 マリアと一緒に、初めての賭博に興じる。ルールもよくわからないが、マリアが丁寧に教えてくれる。

「僕、見た通り、あまりお金はもっていませんよ?」

< 306 / 528 >

この作品をシェア

pagetop