堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 フレドリックは不安になってそう言うが、私があなたを気に入っただけだから、お金のことは気にしないでと言う。
 自分は金を落とす必要がある客なのに、とフレドリックは思うが彼女のその言葉が少し嬉しくもあった。

「あら、マリー」
 別な女性が、マリアに声をかけてきた。同じようにこの店で働いている女性だろうか。
「今日は可愛い坊やを連れているんじゃないの?」
 フレドリックを値踏みするかのように、不躾にじろじろと見る。

「ええ。フレディって言うの。私のボーイフレンドよ?」
 うふふ、とマリアは目を細めて笑った。

「あら、マリー。あなた、ボーイフレンドはたくさんいるじゃない。その子、私に譲りなさいよ」
 女は下卑た笑いをする。

「ダメよ。フレディはこんなにきれいな顔をしているんだもの。この子は私のもの」
 マリアがフレドリックに抱きつく。フレドリックの肩に、彼女のその豊かな胸が当たる。想像したら、少し嬉しいような恥ずかしいような。
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