堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 軽いお酒と、それから食べ物をいくつか注文した。それはもちろんドミニクが店員に注文する。
 ジルベルトは彼の流暢なバーデール語に感心していた。
 エレオノーラといい、ドミニクといい、このフランシア家の人間は意外と優秀なのではないか、と。それが、彼らが第零騎士団に所属している所以なのだが、それにジルベルトは気付いていない。何しろ、第零騎士団は特殊すぎるため。

 注文していた料理と酒がテーブルの上に並べられた。乾杯しましょうよ、というジャックの一言によって、とりあえず乾杯する。何に対する乾杯ではなく、とりあえずの乾杯。

 そしてお酒が入れば口も軽くなる。

「団長。今回は、奥さんに会えなくても平気なんですか?」
 ジャックに言われ、ジルベルトは思わず飲んでいた酒を吹き出しそうになった。ドミニクも口に入れていた肉を吹き出しそうになった。

「お、おまえ。なぜ、それを?」
 珍しくジルベルトが動揺している。

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