堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「バーデールからの留学生のエレンさんです」
 部員が集まったころ、キャシーがエレオノーラのことを紹介してくれた。
「今日は、演劇部に見学にきてくれました」

 おおーと拍手と歓声が沸き起こる。このように歓迎してもらえると、やはり嬉しい気持ちになってしあう。

「キャシー。彼女、留学生なんでしょ? こっちの言葉は大丈夫なの?」

 一人の女子生徒が声をあげた。もっともなご指摘である。

「ええ、エレンさんはこちらの言葉もペラペラよ。むしろ、バーデール語で話したことを聞いたことがないわね」
 ドキッと。痛いところを付かれましたよ。とエレオノーラは心の中で焦り始めた。むしろ初日は、バーデール語で自己紹介した方がよかったのだろうか。話せないわけではないけれど、必要がないから話していないだけで。

「そう?」
 納得したのかしていないのか、その女子生徒はジロリとエレオノーラを睨んでいた。こういった視線は、エレオノーラでさえなんとなくわかる。好意的ではない、ということだ。むしろ好戦的。

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