堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「ええ、かまいませんよ」
 エレオノーラはニッコリと微笑んだ。そう、仮面をつけるのは得意。久しぶりの仮面にゾクゾクしてしまう。
 そもそもこの潜入、大した仮面をつけていないことに気付いてしまった。もう、ほとんど素じゃないか、と。

「では、さっさと始めましょう」
 そう言ったことを、ジェイミは後悔することになる――。

 ことはなかった。

「素晴らしいわ、エレンさん」

 あのジェイミが大絶賛。

「あなた、演劇をやっていたのね」

「あ、はい。向こうで少々」

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