花笑ふ、消え惑ふ
「わかってんじゃねーか、総司」
「……石頭。バラガキ。鬼」
「俺にとっちゃ全部褒め言葉だ」
ふたりの言い合いはどこか兄弟のようだった。
悪態をつく総司は心の底からそう思っているようでもなく、言われた土方は怒るでもなく。
もしかしたら付き合いが長いのかもしれない。
「あとは左之助だけだが……あいつは堂々と幹部会を欠席してどこにいるんだ?」
近藤の言葉に、誰も心当たりがないのか首を傾げるばかり。
「ふつーに寝坊でしょ。昨日の夜番、左之さんとこだったし」
平助はなんてことないふうに言って、さらに続けた。
「なんか、左之さんには流のこと言わないほうがいー気がするんだけど、オレだけ?」
今度はみんなして、ああ、という顔になった。
流はもちろん意味がわからず、こてんと首を傾げるだけだが。