溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
「……ごめん、さっき無理させたばっかりなのに。やっぱ今の忘れ……」
「……いい、ですよ」
優吾さんは"忘れて"と言おうとしたのに、それを遮った。
「……え?」
「いいですよ。キスしても」
どうしてそんな返事をしてしまったのか、わからない。
でも。
私も、もう一度キスをしたかった。
昨日は驚いた。今日のキスには、翻弄された。
キスがあんなにも苦しいのに、あんなにも甘くて切ないことを知ってしまったら。
もう一回、してみたかった。
この胸が高鳴る理由を。この気持ちがなんなのかを、知りたかった。
恋愛がしたすぎて、恋に恋してるだけかもしれない。初めての経験に、酔ってしまっているだけかもしれない。
もしかしたら、他の人とだったらまた違う気持ちになるのかもしれない。
まだ出会って二日しか経っていない。お互いのことだって、まだ知らないことだらけ。
でも、なんとなくわかる。
この方とだから、私はまたキスがしたいと思う。
「優吾さん。キスしてください」
言うが早いか、気が付けばもう激しいキスが降り注いでいて。
「ふ……ふぁぁ……ん……ゆ、ごさん……」
「今のは、煽った紅葉が悪い」
一ミリも隙間ができないように後ろから押さえつける手のひら。
私を貪るようなそのキスに、必死に着いていこうと私も舌を絡める。
人生で二回目の濃厚なキスにやっぱり頭は働かないけれど、それでもわかる。"あぁ、気持ち良い"。
いつのまにか立ち上がり、ベッドルームまで移動させられていた。
キスに夢中になっていて気がつかなかった私は、キングサイズのベッドに押し倒されて初めて、今から何が始まるのかを理解する。