溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜
現地時間の午前十時。私は緊張でガチガチに固まりながら控え室で準備に勤しんでいた。
上質なシルク生地でできたウエディングドレスは、肩から袖口までが全て繊細なレースでできているもので、まるで英国王妃が着るようなエレガンスでクラシカルなドレス。
肌の露出を抑える代わりに深いVネックでデコルテを大胆に見せたデザインがセクシーすぎず優雅でどこか気品を感じる。その素晴らしさに第一印象からすぐに心を奪われてしまった。
優吾さんにもこれが一番似合うと言ってもらい、即決したドレスだ。
それに合わせるラナンキュラスのブーケは一番初めに優吾さんから貰ったブリザーブドフラワーをイメージしたもの。式に合わせて選んだ真っ白な大輪の花は存在感があり、ドレスにも負けずに華やかにしてくれる。
ティアラは優吾さんが特注してくれたあちこちに宝石が散りばめられたもので、ライトを当てなくても自然光が反射して常にキラキラと輝いている。
鏡の前でどんどんメイクが施されていく自分の顔を見て、映画の世界に迷い込んだかのような錯覚がした。
昨日のうちに優吾さんと会場を見に行った時、ほとんどの打ち合わせをオンラインでしていたのにも関わらず、私たちの理想通りのシンプルで落ち着いた装飾が施されていて感動的だった。
何度も何度もイメージを具体的に伝えた甲斐があった。
それを思い出して自然と口角が上がる。