夜が明けぬなら、いっそ。
半信半疑だった。
嘘だと思いたいが、断言は出来ない。
「…それは誰から聞いた、」
「本人だよ、本人。噂では徳川の反逆者に暗殺されたって耳にしたがな、俺ァ」
「……」
だったらわざわざ常陸国に来ることは無かった。
本当に父さんが徳川の手下だったのなら、徳川の者に暗殺されたなら、こんなにも近くに居たじゃないか。
その情報を握っているだろう男が。
「確か噂によっちゃあ、その反逆者の名は徳川 けい───」
「ゴホッ、ケホ…ッ!」
「おいおい移すなよ。巷じゃ、最近は労咳がまた流行り出したらしいからよ」
「小雪、こっち」
よろっと、よろけた身体を支えるように景秀の腕に引かれて人目のない場所へ。
違う、今のは本当に噎せただけなんだ。
だからそんなに心配しなくても問題ないというのに。
「景秀、平気だ。吐血もしてない」
「無理はするなと言っただろう、これは約束だ」
それはお前が勝手にこじつけていたようなものだ。
それに、あそこで了承しなかったら確実に引き留められていた。
「景秀、お前…なにか知っているんじゃないのか」
「…知らないよ。徳川は代々伝わる将軍家、俺が全て範囲できる比じゃないくらいの規模だ」