オトメは温和に愛されたい
「……バカ音芽(おとめ)。そんなん却下に決まってんだろ」

 なのに、言葉半ばで温和(はるまさ)にダメ出しをされてしまった。

「なぁ、音芽。情けない本音……言って、いいか?」

 涙目で温和(はるまさ)を睨んだら、至極真剣な顔で温和(はるまさ)が私を見つめてきて。私は思わず彼に見入ってしまう。

「……情けない、本音?」

 ややして小さな声で温和(はるまさ)の言葉を復唱したら、温和(はるまさ)が私の視界を手のひらで覆い隠しながら、小さな声で言うの。

「俺も……めちゃくちゃ……緊張してる」

 ――お前が相手だと思うと、俺は本当情けないぐらい駄目な男になるんだよ。

 最後の辺りはほとんどささやきに近くて、私は温和(はるまさ)が実際にそんなことを言ったのか、自信が持てない。

 視覚を奪われていて、温和(はるまさ)の口の動きも表情も読み取れなくされてしまっているから、それは尚更で。

温和(はるまさ)……?」

 恐る恐る彼の名を呼んでみるけれど、なかなか目に載せられた手は退けてもらえなかった。

 私は息を吸い込むと、児童らを諭すような調子で温和(はるまさ)に訴えかける。

「……温和《はるまさ》。私も……アナタに触れたい。手、放して……くれると嬉しい、な……? その……に、逃げたりしない、から……」
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