オトメは温和に愛されたい
 校長先生や教頭先生との事前の話し合いでは、「入籍後はおふたりとも霧島先生で宜しいんじゃないですか?」と、いとも簡単に言われてしまって。
 入籍したのに旧姓のままというのは保護者からも変に勘ぐられるかもしれませんし、入籍を隠すのも逆におかしな話になりますでしょう?というのがその理由。

 温和(はるまさ)がお二人の提案に満足そうにうなずいたもんだから、そこについてはそれで決定と言うことになってしまった。

 その絡みで、回覧物に添付する名簿などのように、目に見えてふたりの差別化が必要なときは、私のほうに「霧島(きりしま)(音)」って付けましょうかという話になったの。

 これには温和(はるまさ)が即座に「そこは“霧島(妻)”のほうが彼女の下の名前を知らない人にも分かりやすいと思います」とか物申してくれちゃって……。

 結局、ではそのようにと決まってしまった。

 私の鳥飼(旧姓)で行きます計画も、音芽(おとめ)先生にして、温和(はるまさ)と区別をつけたいという案も、ことごとく没にされて――。

 私のことなのに、何だか微妙に納得いきません。

 温和(はるまさ)さんは、どこまでも私の下の名をなるべく表に出したくないみたいです。


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