オトメは温和に愛されたい
***


「実は……大我(たいが)さんが落ち着くまで、彼にはうちに来てもらおうと思ってて」

 鶴見先生はあの事故で愛車をダメにしてしまったし、何よりまだ自分での運転は無理。
 リハビリ施設のある病院までの距離が、鶴見先生のアパートからよりも、なっちゃんのアパートからの方が近いというのもあって、彼女から打診してみたらしい。

「うちからならリハビリがてら歩くことも可能だし、仮にタクシーに乗るにしても、短い距離(ワンメーター)で済むから――」

 もちろんなっちゃんがお休みの日は彼女が送るらしい。

「なっちゃんはそれでいいの?」

 生活スタイルを変えてまで鶴見先生に尽くすの、平気?
 そんなニュアンスを込めて見つめたら、
「オトちゃんだって、もしも霧島(きりしま)先生がそうなったら、同じようにするでしょう?」
 と見つめ返された。
 もちろんそれはそうだ。
 私はなっちゃんみたいに車の運転は出来ないので送迎は無理にしても……その他では目一杯サポートすると思う。
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