オトメは温和に愛されたい
「まぁさ、冗談はさておき、シェアでいいんじゃね? 取り皿もあんだろ?」

 自分から話を振っておいて、自分でさっさと完結してしまう。
 本当、お兄ちゃんは自由人だと思う。

「でさでさ、ハル。何でもいいんならお前、これにしろよ」

 カナ(にい)が指差す先を見て、私はそれ、完全に自分の好みじゃん、と呆れてしまう。

「サーモンとアボカドのチーズムースパンケーキ? 俺アボカドとかサーモンとか別に興味ねぇんだけど。それこそ飲み物だけでも――」

 温和(はるまさ)がカナ(にい)の指した先を見てため息をつく。

「えー、ハル、別に何でもいいって言ってたじゃん? 俺、サーモンも食いてぇのよ」

 そこまで言って、私を視界に収めたカナ(にい)に、私は慌てて視線を逸らす。

 い、嫌な予感しかしないっ。

「なー、音芽(おとめ)。お前もアボカドとサーモン食ってみたいよな?」

 よな?という語尾とは裏腹に、目でそう言えと訴えている、絶対。

「あ、でも……」

 温和(はるまさ)が乗り気じゃないなら無理に頼まなくても……と言おうとしたら、「ハルぅー。実は音芽(おとめ)さぁ、高校生の時……」と言ってきて、私は思わず「わ、私もっ! アボカドとサーモン食べたいっ!」と言ってしまっていた。

 ごめんね、温和(はるまさ)っ!


***


 実は私、前に、温和(はるまさ)の写真をこっそり手に入れようとしたの、カナ(にい)に、見つかってしまったことがある。

 とういうか、買ったのがバレたというか――。
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