逆プロポーズした恋の顛末
「たんけん……?」
「そう。パパのマンションのまわりを散歩して、どんなお店があるか、どんな公園があるか、探してみない?」
「……パパのびょういんも行く?」
周辺は高いビルが林立しているので、低層のマンションからは直接見ることはできないが、尽は幸生に立見総合病院までは徒歩で十分程度だと話していた。
「ええと……そうね、外から見るだけでもいい? 病院には具合の悪い患者さんがいっぱいいて、お医者さんも看護師さんもとても忙しいの。パパのお仕事の邪魔をしちゃいけないでしょ?」
病院は、そもそも遊びに行くようなところではないし、尽がわたしたちの存在を周囲のひとたちに打ち明けているかどうかわからないまま、いきなり職場訪問するわけにもいかない。
「うん」
「よーし、じゃあ、探検の準備をしようか! 幸生は、リュックサックにお出かけに必要なものを詰めてくれる? ママは、その間にお昼ごはんを作っちゃうから」
「わかった! 準備する!」
途端に張り切る幸生にホッとした。