逆プロポーズした恋の顛末


**


「お待たせして、申し訳ありません」


通りで待ち伏せされ、呼び止められてから約三十分後。
喫茶店の奥、二人掛けのテーブルにいた弁護士は、わたしを見るなり一瞬驚いた表情をした。
その様子にささやかな勝利感を得て、向かい合うように座る。


「こちらこそ、お忙しいところ、申し訳ありません」

「いえ。『立見 尽』さんの件で、わたしにどんなお話がおありなんでしょう?」


まわりくどい前口上は不要と、こちらから話を振れば、弁護士先生は苦笑いする。


「もう、見当はついてらっしゃると思いますが……」

< 46 / 275 >

この作品をシェア

pagetop