ばぁか、
大きくて逞しいその背中。見かける度に駆け寄って、ここぞとばかりに隣に並んでいた。

あなたの隣は、日向のように柔らかな温かさに包まれていて。いつだって心地よかった。いつだって優しい音が鳴っていた。

自信のない、日陰者の私をそっと肯定してくれる、唯一のひと時。

あなたの隣でだけ、私は自然に笑っていられた。本当の自分でいられた。

でも、もうその背中は追いかけない。追いかけちゃいけない。

日向で輝くべきなのは私じゃなかったから。

あなたの隣でずっと笑っているのは、私じゃいけないから。

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