キミは掴めない。


「委員長の俺じゃなくて、なんでわざわざ副委員長の美瑚ちゃん単独指名なんだろうな」

「あ、あははは……」


そこはもう笑うしかないけれど、やっぱり完全にバレていそうだ。


「俺との目標、もう忘れた?」


しまいにははっきりとそう言われてしまって、小さな声で「ごめんなさい」と謝るしか他ない。


「ったく……」


はぁ、とため息をついた清瀬くんが、わたしの目の前まで歩み寄ってきた。


かと思えばそのまま左手がスッと伸びてきて、わたしの髪に触れる。


「な、なに……っ?」

「また撫でられでもしたか」


ここ乱れてる、と、清瀬くんの指がわたしの髪を梳く。


それがあまりにも近くて、体の動きが完全に停止した。



「……美瑚ちゃん、男に免疫なさすぎ」


そんなわたしの反応を見て手を離した清瀬くんの表情は、やっぱり呆れ顔。

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