キミは掴めない。
……と、いうか。
「初恋、諦められる気配がない……んだけど」
「まぁ、そうだろうな」
わたしの思わずこぼれた弱音も、どうやら清瀬くんにはバレているみたいだった。
初恋を諦める宣言をしたところで、そう簡単に諦められるなら、いままで苦労していない。
1年でわたしを変えるなんて宣言していた清瀬くんだけれど、何を根拠にそう言えたのかはいまだに謎だ。
「なぁ、なんか書くもの持ってない?」
「え……?」
ほら、またそうやって唐突に変なこと聞いてくるもん。
わたしの方に手を差し出してきた清瀬くんだけど、そんなものいまこの状況で持ってるわけがない。
と、言いたいところなんだけど。
「……こんなのならある」
残念ながら、書けそうなものなら持っていた。