秘密の恋は、学校で。
「ほら取れる〜♪」
私は見事、上靴を取り返して、見せつけるようにくるくるとまわった。
「隙ありっ!」
「ああっ! ちょっと……!」
私の上靴……!
このアホが私の手から上靴を取って、外に向かって投げたのだ。
「「………あ 」」
ボトン、とはいわず、誰かにぶつかる鈍い音が聞こえた。
「はぁ……!? 上靴……? なんで……?」
中学生にしては幼く、高めの声が聞こえた。
「ヤバ。お前謝ってこいよ」
「それでも男? 投げたのもお前だろ」
こんなときに率先して謝りに行く―――。
それができないのがこいつだ。
顔はいいのに残念だ。