秘密の恋は、学校で。
「もう! 私行ってくるからね!」
「頑張れー」
頑張れって何なの!?
しかも棒読み!?
私はあいつ……森岡颯人にイラつきながらも、上靴を返してもらいに行った。
あ……!
私は上靴を片方だけ持って、キョロキョロしている人を見つけて、「すみません」と声を掛けた。
「あの……その上靴私のです。
ぶつけてしまってごめんなさい」
私が謝ったら、その人は振り返ってコツンッと上靴で小突いてきた。
「痛いっ……て、え?」
「バーカ、何で上靴飛ばすんだよ」
さっきまで見えなかったその人の顔を見て、私の思考は停止した。