赤い雫のワルツ



 感情のままに私の口は勝手に動いてしまう。



「私と一緒に過ごす時間の中で、そんな時間今まで一度もないじゃないですか。主人と使用人、その関係だけで、何も動かない。私、それが無性に……苦しいんです」



 どうしてか今にも泣きそうになるのをぐっと堪えて、私はご主人様を見つめた。



「私、なんでこんなに苦しいんですか?分からないんです。他の女性に触れてほしくない、私だけに触れて、私だけを見ていて欲しい。そんな感情がせり上がってくるんです」



 感情の答えが分からないまま、吐き出しきった言葉は宙を舞う。



 静かに揺れる月明かりは、答えを照らし出してはくれない。



 目頭が熱くなって、ご主人様の顔が微かに歪んだ。



「すまない」


 
 
 ご主人様はそう一言だけそう呟いた。


 ふわりと近づいてきたご主人様の優しい温かい香りに、瞼を一つ閉じた。



 次の瞬間、温もりが私を包み込んだ。






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