生徒会は今日も楽しい


「誰からももらえないなんて俺、耐えられない」

私よりずっと背高いくせに、机に顎をくっつけて上目遣いをしてくる。
こいつ…イケメンだからってなんでも許されると思って。
中井戸って学年1頭良いのに…たまに常識という言葉がすっぽり抜けてしまうようだ。

こんなくだらない理由で臨時生徒会総会なんて絶対開かせない。


「…わかりました、私がチョコ持ってくるんで」


今年は誰にも渡す予定なんてなかったから、準備するのはめんどくさいけど、臨時生徒会総会開くよりはずっと簡単だ。

私の言葉を聞いて会田は何がおかしいのか「くくっ」と笑い始めるし、馬場もなぜかニヤニヤしている。


「さすが副会長は優秀だ。ニーナ、チョコよろしく」


「に・い・なです。じゃあ、今日はもう解散ですね。
おつかれさまです」


なんとか、会長のわがままを却下することができたので、少しだけ軽やかな足取りで生徒会室のドアを開ける。

「あ、新名先輩もう帰るんすか?」

ちょうどそこで鉢合わせたのは書記の大和だ。
野球部を抜け出してきたのかユニホームを着たままで、うっすら汗が滲んでいる。

「大和、おつかれ。せっかく来てくれたところ悪いけど、話し合い終わっちゃったから私帰るわ」


「そうなんすか、おつかれっす」と言う大和に、にこっと笑顔を返すとドアをゆっくり閉めた。


さて、あのわがまま会長に渡すチョコの用意をしなくては。


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