生徒会は今日も楽しい


ドアが閉まるのを待ってから、会田は話し始めた。

「中井戸先輩、最初からチョコが狙いでしたね」


中井戸はペン回しをしながら、鼻歌を歌っている。

「何のことかな」

と言っている割には上機嫌でペン回しが止まらない。


「え~なになに、俺がいない間におもしろいことでもあったんすか?」

定位置に座った大和はおもしろそうに身を乗り出した。

「会長、ずるーいやり方で新名先輩のチョコをもらう約束取りつけたの」

先程のやり取りを正面の馬場から教えてもらった大和は「なるほど」と頷く。


「まあ、ニーナがチョコをくれるって言わなかったら、臨時生徒会総会開いて本当に禁止にしてもよかった」

ニーナ以外のチョコなんていらない、と中井戸はペン回しを止め腕を組みながら言う。

そんな議題通るはずはないが、中井戸はファンが多いし先生たちの大のお気に入りで口もうまい。絶対あり得ないと言いきれないのがコワイところだ。


「中井戸先輩の愛情表現、わかりにくいし回りくどいし、まさに新名先輩が嫌いなめんどくさいって感じすね!」


全く悪気はなさそうに爽やかな笑顔でそう言う大和に、ペシッと小さく丸めた紙がぶつけられた。


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