悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います
 このゲームは恋愛シミュレーション&育成&RPG要素を含んだスマホゲームだ。ダンジョンを冒険しつつ、仲間を育てつつ、学校生活の四年間で攻略対象と結ばれる。

 私は紙に思い出せるだけの記憶を書き出した。
 そして羽ペンをとんとんしながら考える。
 そういえば、だいぶ前からパパ……じゃなくて、レティの父であるカルロさんは、塩を工面するために別の領地を駆け回っていた。

 うちの領地の特産品は魚介類。
 それらを輸出するには、塩を使って干物にしたり塩漬けにしたり、保存食にする必要がある。その際、かなりの量の塩を使うから塩がないと死活問題になるらしい。
 ちなみに、鮮魚のまま輸出できなくもないらしいけれど、家庭に届いても日持ちしないからほとんど需要がないのだそうだ。

 基本貧乏なんだよね、この領地。
 ほぼ自給自足で、輸出できるようなめぼしい特産品がない。
 塩がなかったら、外貨を稼ぐ手段がなくなってしまう。
 パパが塩を手に入れてきてくれるといいのだけれど。
 うーん。っていうかパパじゃないのか。
 ついこの前までパパと呼んでいて、本当の父親だと思っていただけに、かなりブルーな気持ちになる。
 レティの中身が別人と知られたらパ……カルロさんはなんて言うだろう。
 娘の体を奪ったと言われて、悪魔呼ばわりされてしまう?
 でも私の魂を入れ替えたのはレティ本人だもの。

 私は被害者だよ! 恨まれる覚えはない! ……うん。たぶん。

 かなりブルーになるので、今はこの問題は置いておこうと思う。
 もう体はレティになってしまったのだから、戻しようがないもの。
 なんとか隠し通さなきゃ。
 戻る方法を探すにしても、十八歳までに見つかるなんて保証はどこにもない。

 まずは死亡フラグ回避に全力を注ごう。こういう時は転生小説でおなじみの知識チート!
 だいたい日本で蓄えた知識で私sugeee(すげえ)となるはずっ。

 まずは塩を作らないとね。塩。なんたってこの領地、城壁内に港がある。海水があるんだよ! 
 塩、作り放題っ! そして、どうやら私には高度な魔力があるらしいし!
 きっと塩をお手軽に作る方法が見つかるに違いない。
 私は海水から塩を作る方法を探すために、神殿の図書室へと出向く。
 いい魔法が見つかりますように。

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