そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜

【Kagari Murakage】

 私、別にとっても小さい頃からこんなに食い意地の張った女の子じゃなかったみたい。



 それこそお父さんが亡くなるまでは割と普通の女の子だったってお母さんも言っていたし、何なら寛道(ひろみち)からも「そんなじゃなかった」と指摘されたこともある。



 その話をするとき、お母さんはとても申し訳なさそうに話すんだけど、私はあまり覚えていないから気にしてないの。


花々里(かがり)ちゃんが今みたいに食いしん坊さんになったのはね、お母さんのせいなのよ」


 そう前置きされて語られる言葉に、私はイマイチ実感が持てなくて。



「お父さんが亡くなって、お母さん、花々里ちゃんをひとりで育てていかなきゃって思ってね、お仕事の量を増やしたの」


 頼綱(よりつな)のお父様が経営しておられる産婦人科の看護師として働いていたお母さんは、院長先生にお願いしてシフトを多めに入れてもらったり、それでも少ないと感じて近所の24時間営業のスーパーでレジ打ちのバイトをしてみたりしたんだとか。

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