政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「朱加里……」

「誰も今まで私を必要としてくれなかった。母にはお荷物として扱われ、父にも私は厄介者で。唯一、私を必要としてくれたのはお祖父さんだけだった」

「そんなことはない」

「壱都さんだって、私に井垣の財産がなかったら、興味を持たなかったでしょう?」

「きっかけはなんであれ、好きになってなにが悪い」

壱都さんは否定せずに笑った。

「馬鹿にするな。俺は好きでもない女と結婚するような男じゃない」

「で、でも、紗耶香さんの方が綺麗だし……」

唇を離し、壱都さんは握っていた手首に口付ける。
ゆっくりと唇が手をなぞり、そして、上目づかいで私を見るとその唇を離した。

「そういう理由か」

ふっと体から重みが消えた。

「誤解されているから、改めて言っておく。俺には朱加里(あかり)が必要だ」

ソファーに座り、私の体も起こしてくれた。

「遺言だから、一緒にいるわけでもない」

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