政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
長く説教を聞いていたせいか、耳にまだ残っているような気がした。
ため息をつきながら玄関を出て、車の前までやってくると、朱加里はすでに戻ってきていた。
母と楽しそうに話をしている。

「随分と話が弾んでいますね」

「あら、壱都さん。お話は終わったの?」

「ずっと説教でしたよ。なにを話をしていたんです?」

「同じお茶の先生に習っていたから、そのお話をしていたのよね」

朱加里が頷く。

「またご一緒しましょう。壱都さん、困ったことがあるなら、きちんとお祖父様やお父様、皆とご相談なさってね」

「わかってますよ」

母からも念を押して言われてしまった。
母は笑いながら、手を振り、見送ってくれた。
白河本邸の門を抜けると、樫村が息をはいた。

「他の親戚の方から、問い詰められましたよ。どうなっているのかと」

「しつこく残っていたのか」

「壱都さんに一言、言ってやろうと意気込んでいましたよ」
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