政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
騙されていますよと私が教えてあげたいくらいだった。

「未熟な私達二人ですが、今後ともご指導いただきますよう、よろしくお願いいたします」

壱都さんは私の肩を抱き、にっこりと微笑んだ。

「よろしくお願いします……」

王子のように微笑む壱都さんの隣で私はひきつった笑みを浮かべていた。
でも、誰も気づかない。
壱都さんと話すのに忙しい人達は私の顔なんて、少しも気に留めていなかった。

「いやあ、仲がよろしくて一安心ですな」

「朱加里お嬢様、しっかり壱都さんの心を掴んでくださいよ」

「婚約パーティーの日取りも決めなくてはいけませんな」

「会長が亡くなったばかりで、派手なパーティーはできませんが、お披露目だけでもしておかないと」

重役の人達は壱都さんを逃がさないように囲い込むつもりのようだった。

「お祝いまでして頂けるなんて、ありがたいね。朱加里?」

「そ、そうですね」

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