政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
先生達はお祖父さんを悪く言われたことに対して、私以上に我慢ならなかったのだと気づいた。
きっとここに決定的な証拠品があるとはだれも思っていない。

「もちろん、井垣会長の不名誉は晴らしますよ」

「亡くなった当日に届いた手紙でしょう?何か意味があるのかもしれないと思って、何度も読んだのだけど。特別なことは何も書いてないの。なにか会長なりに思うところがあって、書いたのでしょうけれど」

「読んでも構いませんか?」

「どうぞ、お読みになって」

壱都さん読み終わると、私にも先生の手紙を渡してくれた。
内容は私のお菓子作りが最近は本格的になり、ガトーショコラを食べたが、なかなかの腕前だとか、壱都さんが海外でしている仕事が順調で自分の目に間違いはなかったとか。
まるで孫自慢だった。
そして、お祖父さんは手紙の最後にいつも年月日を自筆でいれる。
堂々とした字がお祖父さんらしい。

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