政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「朱加里さんのドレスはフランス製のウェディングドレスなんですってね」

「壱都さんが選んだんですよ」

ドレスのカタログが大量に届いたのには驚いた。
私に選んでと言ったけど、選びきれず、カタログの山にぐったりと倒れていると壱都さんが気に入ったものをいくつか選んで、その中から私が気に入ったものにした。
ドレスはオフショルダーになっており、後ろには大きなリボン、細かく編まれたレースは見事で素人の私でさえ、素晴らしいと思った。

「それにしても、結婚式までに片付いてよかったこと」

「そうですね。私も迷いましたけど―――」

お祖父さんの遺言が認められて、遺言書は有効となり、遺言通りになった。
いくらか現金を相続した父達だけど、警察に捕まった紗耶香さんは保釈金を支払い、父はアルコール依存症のため入院、芙由江さんは浪費癖が治らず、ため込んだ借金でお金は全部なくなってしまったと聞いた。
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