政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
その言葉に私はさっきまでの勢いが消えた。

「そんなことは……」

ないですとは言えなかった。
私を使用人くらいにしか思ってない父達の存在。
お祖父さんがいるから、まだ私はこの家で他の人達からも優しくしてもらえている。
でも、お祖父さんがいなくなったら、頼れる人は誰もいない身だ。

「息子の壮貴(まさき)は頼りにならん。まともな人間に育たなかった。すまない」

「お祖父さんが謝ることじゃないです」

「お前のような孫がいてくれてよかった。安心して妻のところへ逝ける」

「そんなこと言わないでください!」

「明日死ぬわけではないが、準備はしておきたい。お前に贅沢はさせてやれないが、それには理由があると思っていなさい」

「贅沢なんてしなくていいから、少しでも長生きしてくれたらそれでいいんです」

そうじゃなかったら、私のことを心配してくれる人が誰もいなくなってしまう。
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