政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「お前は実の祖父より井垣のほうが好きだからな」

俺だけじゃなく、他の人間もだろうよと心の中で悪態をついた。
こちらを見る目は鋭く、威圧感がある。
この重苦しい空気より、井垣会長の厳しくも温かい人柄のほうが百倍もいいに決まっている。
だいたいこの会食も魔王の元に集められた配下のような雰囲気だった。
白河財閥の会長である祖父が主催する月一回の夕食会。
これは家族全員参加を強制的に義務付けられている。
白河家で参加しない人間はいない。

「それでどうだった。井垣は」

「思ったより、お元気そうでしたよ」

「そうか」

祖父のおつかいで遅刻したのだとわかると、心なしか全員がホッとしていた。
どれだけ、祖父がいまだに白河家で力があるかわかる―――化け物か。
一番端のいつもの席に座った。
食事はフレンチで洋食好きな祖父は分厚いステーキに添えたテリーヌを美味しそうに食べている。
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