政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「連絡があるって言われて行ったら、人違いだったのよ。せっかく運命的な出会いだったのに!」

「でも、婚約しているんでしょ?」

「両親同士がとっても乗り気だし、結婚するのも決まっているようなものよ」

「あんな素敵な方と結婚なんてうらやましいわ」

「結婚式には招待してあげるわね」

紗耶香さん達は楽しそうに談笑しながら、会場に入っていった。
でも、私は会話の内容より、抱き締められていることのほうに気を取られていて、それどころではなかった。
壱都さんは細身なのに体はがっしりとしていて、シャツからは甘い香りがした。
香水なんだろうけど、まるで誘うような香り。
顔を胸に埋められ、壱都さんの体温が私に伝わって頭がくらくらした。

「行ったか」

ホッとしたように壱都さんは息を吐いた。

「好き勝手なことばかり言ってるな。残念だけど、アフタヌーンティーは無理そうだ」

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