政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
私と一緒に現れたのが、気に入らないのか、紗耶香さんは面白くなさそうな顔をし、芙由江さんになにか耳打ちしていた。
現在、紗耶香さんはお嬢様が通う女子大に通っていて、教養学部にいる。
髪をカールし、可愛いネイルをして、いかにもお嬢様という雰囲気で、壱都さんと並ぶと王子とお姫様に見えた。
それに比べて、私は喪服にエプロン、黒く長い髪―――王子とメイド?
鏡を見なくてもわかってしまうあたりが悲しい。

「紗耶香、今はそれどころじゃないの!」

「そんな……お母様……」

目を潤ませて、紗耶香さんはうつむいた。
女の私から見てもその仕草は可愛い。
壱都さんに大好きアピールをしているのか、目をぱちぱちさせているけれど、壱都さんは紗耶香さんを見ずに弁護士さんを見ている。
紗耶香さんはそれでも諦めきれないのか、壱都さんの視線の中に入ろうとして、芙由江さんから『ふらふらしないのよ!』と叱られていた。

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