政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
お葬式が終わると、親族全員が弁護士さんに呼ばれた。
台所で私が町子さんと一緒に湯呑みやコップを布巾(ふきん)でふいていると、なぜか壱都(いちと)さんが呼びにきた。

「今から遺言書を開けるから、おいで」

「私は関係ありませんから」

思わず、笑ってしまった。
それが気に入らなかったのか、壱都さんは少し意地の悪い顔をして言った。

「そうだな。遺言書の内容を聞いた後もその笑った顔のままでいられたら、君の勝ち。笑えなかったら、俺の言うことをなんでも聞くってのはどう?」

「いいですよ。そのかわり、私が勝ったら私の言うことをきいてもらいます」

「わかった」

勝つつもりでいるのか、自信たっぷりに壱都さんは返事をした。
リビングに行くと父と芙由江(ふゆえ)さん、紗耶香(さやか)さん、井垣の会社の重役と弁護士さんがいた。

「どうして壱都さんが朱加里(あかり)といるの?」

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