政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「お揃いのようですね。こちらが会長からお預かりしている遺言書です」

遺言書は一枚ではないらしく、大きめの封筒を取り出した。

「一人一枚ずつ用意されています」

(おごそ)かに弁護士さんが言うと、父は嬉しそうに言った。

「そうか。早く渡してくれたまえ」

弁護士さんは封筒を全員の前で開け、白い紙を各自に一枚ずつ配っていく。

「手紙だったのね」

お祖父さんが私に遺してくれた手紙だと思うと、なんの変哲もない紙なのに特別なものに見えてくるから、不思議だ。

「俺の分もある」

私にヒラヒラとさせて見せた。
どうして、壱都さんにまで?
なんとなく、納得がいかなかったけれど手元の手紙を読む。

『お前に井垣のすべてをやる。世話になった』

一言だけ書いてあった。
これだけ?裏をひっくり返してみても、それ以上はなにもない。
お祖父さんらしいなと思っていると、父と芙由江さんの声が響いた。

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