闇の世界に一生の愛を

雪那side

本当はこんなことしたくなかった。




紫苑といるうちに、俺の汚れていた心が少しずつ浄化されていった。





俺は、生まれつき見た目に困ったことが1度もない。




だから、女なんか余るほど寄ってきていた。





でも、紫苑はいつも俺によって来る女とは全く違う。





俺に、決して媚なんて売らない。





ちゃんと、自分を守る壁を作っている。




俺のことだって、本気で慕ってくれているのが実感できた。




だから、俺はせめて紫苑の隣にいる間だけは一番頼れる男になろうって思えたんだ。




俺は、神田組の人間。




若頭に指示をもらい、意図的にオーナーになり紫苑と知り合った。





紫苑の家庭環境は、考えられないほど劣悪なものだった。





『愛』を知らない女の子





この少女には、悲しくもこの言葉が似合っている。




瞳に、一つの輝きも宿していない。





こんなにも、壊れそうで純粋な女の子を俺は、だますことなんかできない・・。




今の、神田組は俺のいたい組なんかじゃない。
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