天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


何度呼んでも朱雀は来ない。


真面目な彼ならいつもすぐに飛んでくるのに。


ため息をついて庭から出ようとしたところ魔帝が庭に入ってくるのが見えた。


「父上」

「ああ…」


父上は虹彩樹の庭をぐるりと見渡した。


「父上、なぜここに?」

「私が自分で作った庭だ。来て悪いか?」

「い、いえ…」


冗談のつもりらしいが全然笑えない。


「紅蓮、私がこの庭を造ったのはなぜかわかるか?」


たしかに魔帝は花など好かない。

それなのに、自ら大掛かりな庭を造った。

なぜと聞かれてもわかるはずがない。


「わかりません」


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