天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
即答すると少し睨まれる。
妙な気分だ。父上とこんな風に二人で話すなんて。
「なぜですか?」
会話を続けるために聞いてみた。すると驚くべき言葉が返ってきた。
「愛だ」
「は?」
「愛ゆえにだ」
愛とは無縁そうな父上が?
父が母を愛していないことは、すでにわかってはいたが…。
「それはどういう…?」
「二千年前、私がまだ魔帝になって間もないころだ。魔界に天女がやってきたことがあった。私は彼女を愛し、この庭を造った」
「天女…」
「しかし愛は人を簡単に変える。私は二千年前、天女を手に入れようと戦を起こし無罪の八咫烏を殺した」
「…無罪だと知っていたのですか?」
「あぁ…わかっていた」
なぜ殺したのだ!と責めたかったが魔帝の口調から後悔しているのを感じ、どうしても言えなかった。
少しの沈黙の後、魔帝が続けた。