天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「…今の天帝は私とよく似ている。愛した者を手に入れようと躍起になっている」
「…」
愛は人を変える…か。
「近しい者を亡くしてやっとその大切さに気付いた…」
「母上を?」
「ああ。愛してはいなかったが大切にすべきだったと今は思っている」
「そうですか…」
「お前は私に残った最後の家族だ。その、お前が白蘭を娶りたいというのならば…もう反対はしない」
「っ…本当ですか?」
まさか、魔帝である父上が許すとは思ってもみなかった。
「二人が両想いであるのなら、それはもう天命であろう。魔帝といえど引き裂けはしない」
「父上っ!感謝します!」
「問題は月影だ」
「…」
「あの者は白状したか?」