君と、サヨナラの恋

「ふーん。じゃぁ何で?」

「それは……。この学校にいるっていう、『失恋の神様』の噂を聞いたからで……」

膝に肘をついて意地悪く笑っていた梶谷くんが、あたしの言葉にきょとんとする。


「何?」

「知らない?」

「えーっと、神様の、……何だっけ?」

とぼけてるふうでもなく、ふつうに聞き返されて、とても落胆した。

どうやら梶谷くんは、『失恋の神様』でもなければ、その噂すら知らないらしい。


「知らないならいいや」

がっかりした声でつぶやいて立ち去ろうとしたら、梶谷くんにガッチリと手首をつかまれた。


「いやいや。そんな勝手に自己完結されても。ここまで巻き込んだなら、最後までちゃんと話していけよ。気になるじゃん」

「先に巻き込んできたのはそっちなくせに」

有希ちゃんに間違われて押し倒されかけたことを思い出して恨めしげに見下ろしたら、梶谷くんが悪びれのない顔でけらりと笑った。

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