僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
「僕が外すのと、自分で外すの、どっちがいい?」
 どちらにしても彼女の胸が(あら)わになることは決定事項だ。

 首筋に這わせていた唇を、胸の膨らみに移動させ、わざと音を立てて胸の谷間をチュッ、と吸い上げた。
 鬱血、まではいかないが、葵咲(きさき)の白い肌にポツンと朱の点が落ちる。

 焦らすように先端の部分だけは避けて下着の周りを愛撫とともに爪の先でくすぐる。

「どっち?」

 胸を這わせていた手を、そのままおへそに向かってスーッと指先でなぞりながら、再度問いかける。その声と仕草に、葵咲が嫌々をするように身じろいだ。

「決められない?」

 問えば、涙に潤んだ目で理人(りひと)を見つめ返して小さく頷く。

 理人が、葵咲ちゃんはずるい、と感じるのはこういう時だ。

 彼女は選択肢を与えても、大抵は懇願するように理人を頼り、自分では選択していない風を装うから。
 今回だって、恥ずかしいから理人に外してほしい、と言えば済むことなのに、恥ずかしいと口にすることさえ彼女は(はばか)るのだ。

 常に彼女の(てのひら)の上で踊らされていると感じながらも、理人は惚れた弱みで彼女の意を汲んだ行動を取ってしまう。
 そうしないと、前に進めないことを理人自身、よく知っていたから。

「了解」

 今回も、理人の完敗。
 葵咲の背中にそっと手を差し込んで、ホックを外すと、理人は彼女の胸に申し訳程度に被さったままのブラをそっとずり上げた。
 
 
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