僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
 書架はどれも結構背が高いので、何となく全体的に薄暗い印象が拭えない。おまけに書架と書架の間の通路も狭く、誰かが立っていたらその後ろを人が一人すり抜けられる程度。

 色々な要素と、蔵書の多さもあいまって、書庫内は何とも息苦しい印象になっている。

 これらも全て元々閉架式であったことの名残(なごり)だろう。

 フロアによって人の入りも全然違うし、階下に降りれば降りるほど利用者が少なくなる印象だ。

 一階で一人蔵書整理などをしていると、耳が痛くなるような静けさに、ふと不安になることがあるほどだった――。
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