僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
「……理人?」
と、それに気づいた葵咲ちゃんが、心配そうに声をかけてくる。
「退院してからすぐにお仕事始めちゃったみたいだけど……ちゃんと休めてるの? 睡眠時間、足りてないんじゃない? ……って、まさか、熱とかないよね?」
言いながら、ほんの少し身を乗り出して、子どもの頃にしていた感じで何の躊躇いもなく僕の額に手を伸ばしてくる。
眼鏡をはずした途端、彼女の態度が急変して、ともするととても積極的にさえなったことに、僕は軽く驚かされた。
(そこまでかっ!)
眼鏡の結界の力、いくら何でも半端なさ過ぎるだろ。そんなに気になるって葵咲ちゃん、どんだけ意識してるんだよ……。
裸眼なので、視力こそ確保できなくてぼんやりしか見えないけれど、葵咲ちゃんの顔が間近に迫るのを感じて、何となく嬉しくなる。
今日図書館前まで迎えに行ってから、ずっと彼女がよそよそしかった事を鑑みるに、これはこれでありだな、とか思ってしまう。