【SR】卵



夕飯の後、リビングのソファで、四人でテレビを囲んだ。

昔に戻ったようだけど、どこか違う……

私は必死で会話を探した。

家族が壊れてしまわないように。

バラバラに零れ落ちてしまわないように。





テーブルの上が綺麗に整頓されていて、昼間自分が散らかしたままだったことを思い出した。


「ねぇ、お母さん、ここに置いてあった、卵の人形、知らない?」


継ぎ接ぎの卵も、ボンドも、何もかも散らかしっ放しだったはずだ。

きっと、母に片付けられたのだろう。


「あぁ、これ?」


兄が持っていたのは、あの継ぎ接ぎだらけの卵だった。







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