実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです
再会はしたものの…



 明石洸は、相変わらず仕事ばかりの日々を送っていた。
それというのも、真穂が何処にいるのかわからないままひと月も経ってしまい
彼自身の我慢もそろそろ限界に達していたからだ。

荒ぶる想いは、仕事にぶつけるしかない。

『真穂…。』

何故、連絡してこない。

何かあったら連絡しろって名刺を渡したのに。

何故、俺に居場所も告げずに仕事に行ったんだ…。

さり気なく真穂の仕事先や滞在先を、田所克行や米田に聞いてみたが
二人とも大切な仕事を任されたらしいとしか知らなかった。
秘密厳守の仕事らしい。

おまけに妹の夏子が仕出かしたスキャンダルのせいで、
『TAKAプロダクション』は後始末の為に多忙を極めており、
当事者となっていた洸も、夏子や田所達と距離を取らざるを得なかった。

兄として夏子の子供じみた行為は申し訳なかったが、
真穂の居場所がわからず焦っている洸には、スキャンダルなどどうでもよかった。

そのまま時間の流れに身を任せて、洸は仕事三昧の夏を過ごしていた。

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